自然周期体外受精勉強会

凍結融解胚移植

当クリニックでは、前核期胚・胚盤胞で凍結をし、状態を整えて融解後に移植をする「凍結融解胚移植」「凍結融解胚盤胞移植」を行っています。

では、そもそも凍結する理由って?? その答えは大きく2つあります。

1) 子宮内膜と胚盤胞の時間的なズレを解消する。
体外培養液で育てた胚盤胞を子宮に戻したときの子宮内膜は、胚(胚盤胞)にとって必ずしも着床しやすい環境でないことが多くあります。それは、体内環境より、体外で育てた方が胚盤胞への到達が時間的に遅い傾向があるためです。それだけ体外環境は、胚にとって苛酷な状況なのかも知れません。

つまり胚は胚盤胞になる着床ポイントに達したときに、子宮内膜は既に着床しやすいポイントを過ぎているという可能性があり、このまま新鮮胚盤胞で戻すことは、ポイントがずれたまま移植をするということになります。これでは着床できるいい胚に育てても、それを受ける子宮内膜がいいにもかかわらずポイントを過ぎてしまって十分な条件が揃わず、妊娠できるはずなのに妊娠できないということにもつながります。

2) 子宮環境・ホルモン環境を整える
1) のような子宮内膜と胚の同調性を高める目的以外でも、積極的に全ての受精卵の凍結をしています。その適応とは・・

  • 採卵数が10個以上あり、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の重症化の予防
  • 子宮内膜が6mm以下もしくは形状が3層構造でない
  • ホルモン環境が悪い(E2, P4など)

胚を一度凍結し、移植に適した子宮環境、ホルモン環境を整えてから移植する方法を「凍結融解胚移植」といいます。これには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの薬剤を組み合わせ、良好な厚さと形状の子宮内膜を整えることが重要になってきます。

いい卵子を育て、いい胚に育て、的確な方法で凍結をし、ホルモンを整え、内膜を整え、いい周期に移植すること、これにより妊娠率は同年齢に比べ約20%高くなります。

凍結融解胚盤胞移植は、(1)良好胚を選択して移植が可能 (2)形状の良い子宮内膜に移植が可能 (3)凍結、融解を利用することにより子宮内膜と胚の同調性を高めることが可能という3つのメリットがあります。